前立腺がん

食生活の欧米化により急速に増えています。同時に前立腺腫瘍マーカー(採血の1項目)の開発の結果、発見される頻度が増えました。

アメリカではすでに10年ほど前から、肺がんを抜いて前立腺がんが男性のがんのなかで発生率第一位となっています。欧米と比べると、日本はまだその数が少ないのですが、最近は急カーブを描いて患者数が増えており、近い将来日本でも同じ道をたどるのはあきらかだと専門家はみています。
その理由は第一に、高齢人口の急増です。前立腺がんは、高齢者のがんといわれ、患者さんの約90%が60歳以上の人で占められています。今、日本はまさに高齢化社会へと突入しており、対象となる人が今後ますます増えることは明らかです。
第二に、日本人の生活スタイル、とくに食生活が動物脂肪、動物性たんぱくの多い欧米型になってきていることがあげられます。

前立腺がんの症状は、前立腺肥大症は全く違う病気ですが、厄介なことに尿の出が悪い・トイレが近いなどの症状はほとんど同じです。健康な男性でも50歳を過ぎたころから、加齢現象として前立腺の肥大が徐々にみられるようになり、尿の出が悪くなる、トイレが近い、排尿後も尿が残っている感じがする、尿の切れが悪いなどの症状が出始めます。また、前立腺がんは骨に転移しやすいため、下肢や腰の痛みを訴えて整形外科を訪れ、骨の転移から初めてがんが発見されることも多いのです。

前立腺がんの特徴は非常に進行が遅いことで、発ガンしてから臨床がん(がんと診断が確定できる)になるまでには数年かかるといわれています。また他のがんに比べ、薬が効きやすいという特徴があります。いたずらに恐れる必要はありません。

どのように治療していくかは、患者さんの病期、年齢、合併症の有無、希望などを総合的に判断して方針をきめます。おもな治療法には、内分泌療法・放射線療法・手術療法などがありますが、このなかのどれかひとつを選択するのではなく、いくつかの治療法を組み合わせて行うことも可能です。そして、医師と相談しながら最終的な治療法を決めるのは患者さん自身です。